7月14日からTOKYO DOME CITY HALLから始まった氷帝公演、開場前に入場列に並んでいる時に今年初めての蝉の声を聞きました。「熱い夏、始まる!」というキャッチフレーズの通り、夏の始まりの日でした。
それから2ヶ月と11日後、だんだん涼しくもなり雨の続く日ばかりでしたが、大千秋楽であるこの日ばかりはまるで夏に引き戻されたような天気となりました。
ついにやってきてしまった現青学の卒業公演となる「青学VS氷帝」公演です!
本当にめっちゃくちゃ楽しかった!
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初日一幕の幕が下りた瞬間の客席のざわめきを、本当に今でも覚えています。「すごいものが始まってしまった」と思いました。それはおおよそは一幕終わりの氷帝校歌〈俺たちはブリザード〉のインパクトが強くて、青学大好きな私でもあの演出に毎公演うまく息ができなくなるくらいでした。
〈オール・フォー・テニス〉もとてもかっこ良かった。「全てはテニスの為に」と歌うけれどもそれ以前に、「誰かのミスは誰かがフォロー」「お前の涙をぬぐう俺のタオル」と、当たり前にチームとして存在した上でテニスに挑もうとしていました。
さらにリョーマパートの「俺の成長に合わせて 流れる血潮がラケットを巡る 最強の攻撃と防御は俺の喜怒哀楽と同じなのさ オール・フォー・テニス」ですよ。1日たりとも気を抜かず、テニスと向き合い、テニスとともに突っ走って生きているリョーマであるが故の歌詞でした。
堀尾の日替わりは通常公演は懐メロが多かったですが、楽日はDVD収録のため、公演楽曲からの選曲でした。凱旋公演で1度「さぁ始まったよ 都大会…懐かしいなぁ」と感慨深い空気になり客席からも「うっ」と嗚咽が漏れましたが、大千秋楽は「輝け もっと~…下パートしか分かんねぇや!」と笑いに変えていて、とても良かった!
〈夢をつなごう〉の大石の歌の伸びがすごく綺麗でした。紗幕の裏で菊丸もとってもいい表情をしているんです…!
S1で肩を痛めている手塚に「俺に勝っといて負けんな」と告げるリョーマの声が心の底から辛そうでした。ミュージカルではベンチコーチという役割は存在していませんが、原作だとこの時のリョーマはS2から引き続きベンチコーチをしています。「あの2人会話しねぇなぁ」と揶揄される二人が唯一会話をするシーンです。「俺は負けない」とコートに赴く手塚を背に、リョーマはその場を立ち去ります。それはもう声をかける必要性はないと言う決心のようでした。
日吉戦のリョーマは劇中で海堂が歌うとおり、「クールなガッツ」でした。最初は「よそ見してていいの?」「まだまだだね」ととても冷静に日吉を牽制しますが、演舞テニスを見て「にゃろぅ」と闘志が表面に出始め、だんだんテンションが上がっていくようでした。じりじりとテンションがあげ「燃えろサムライ魂 燃やせサムライ魂」と歌うリョーマは、氷帝の氷を溶かしていくようでした。
そして各地の千秋楽及び凱旋公演の6公演すべてで披露された青学の卒業バラード〈未来へ〉。三ツ矢先生が「ストレートな歌詞にした」と仰っていた通り、とても真っ直ぐな卒業バラードでした。
幕が上がり暗転のまま、静かにステージに現れる青学メンバー。その中央に白いスポットライトが現れ、青学メンバーが見守る中、青空に飛び立つ白い鳥のように上空へ消えていきました。大千秋楽では恒例となっているオーディション映像もスクリーンに映し出されました。財木くんから番手順に、そして最後に古田くん。
大千秋楽以外の 青学バラードでは、最後に「ありがとう」と歌う青学メンバーが手を差し出して手のひらを見せたまま後ずさるようにしてステージから去る、というような演出でした。これ、私めっちゃくちゃ寂しくて寂しくて堪らなかったんです。今まで〈ニュー・ウェーブ〉で「お前も一緒に行こう」と手を握って胸元まで引いてくれたり、〈DREAM〉で「夢の世界へ さぁおいで」と言ってくれたみんなが、私達の手をスルッと離してしまうような印象でした。しかし大千秋楽では振りが異なっていて、その手を引いて胸の上に置いてくれました。確かに「さよなら」ですが、私たちの気持ちを心の中に大事にしまってくれたようなそんな気がしました。
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今回は色んな会場に行くことができました。
・大阪メルパルクホール
劇場が古いからなのか白いライトが他の劇場と違って赤みがあって、なんか面白かったです。急勾配ですが、2階も(最前列以外は…)見やすくて大好きです。新大阪駅そばという立地から、すぐに新幹線に乗ることができるのは改めていいなぁ…と思いました。
客席がとっても広かった…!ステージから2階まで移動に時間がかかるのか、リョーマくんがシャカリキの振りを説明する前に2階客席降り担当のキャストが2階に降臨し、それを見つけたお客さんの悲鳴が聞こえる場面も。そして「よそ見してていいの!?」といつも怒っているリョーマくん。笑
跡部・樺地・壇・トリオ以外の全員が一気に客席降りするほどの広さでした。
座席の腰の位置に半円のクッションがついていて、慣れるまでは違和感が。あとトイレが!少ない!新幹線の最終に間に合う時間・距離で助かりました。
博多駅からパーッとタクシーで行けるので楽でした。(値段は覚えてません…。)周囲にあまりお店がないのでマチソワ間は少し困る、かな…?ここもとっても広い劇場で、何よりロビーがとても広かった為、他の劇場だと日替わりだった柱巻が全て展示されていて圧巻でした。
席は2階のサイドシートの一人席みたいなところでしたが、なんか面白かったです。ベンチが少し見切れる程度、でした。
飛行機の最終には間に合わず、一泊。
今回は他の劇場をいくつか体感できたからちょっと思ったことですが、TDCホールはすごく素直な劇場だなぁと感じました。歌声がまっすぐ客席に届くから誤魔化しが聞かない。それが良いことなのか悪いことなのか分かりませんが。TDCホールを味方につけたキャストさんも、最後まで仲良くなれなかったキャストさんもいるように感じました。
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以下、キャストさん感想です。
・リョーマくん(古田くん)
わー大好き!「好きしか言えねぇ!好きなんだからよ!」って感じです!
とっても生意気で、子供っぽいというよりもガキっぽい、けれど試合中はめっちゃくちゃカッコいい「等身大」なリョーマくんでした!
公演を重ねるにつれ次第に自由になっていった座長挨拶も、悩みに悩んで発してくれていて面白かったですよ、一紀ちゃん!(笑)氷帝公演の楽挨拶は最後の挨拶回りのように、その土地の方に「今まで応援ありがとう」を伝えているようでした。
大千秋楽はあまり多くは語ることはされませんでした。「楽しかったーーー!」と涙を浮かべながらも笑顔で言って下さったのが、本当に嬉しくて。座長というプレッシャーが彼の肩の上に常に乗っかってシーズンの立ち上げなんて本当に苦しさしかなかっただろうし、それでも「楽しかった」って言ってくれた。〈一点集中!〉の「キラキラの勝利が待っている」のように、クルクル回る姿はとてもキラキラしていました。
・手塚(財木くん)
本当にお疲れ様でした。大千秋楽の手塚は特に鬼気迫るものでした。あの場面を目撃した全員に、手塚の気迫の影響を受けていたんじゃないかと思います。あの場面はDVDには残らないかもしれませんが、劇場にいた人・LVを見ていた人は忘れることはないんじゃないかと思います。
財木くんの「決着つけようぜ」という言い方が、普段の手塚より少し荒っぽく、跡部との試合に熱をみせるような言い方ですっごく好きでした。
・跡部(三浦くん)
すごかったです。跡部って色んな表現の形があるんだと思いました。〈俺たちはブリザード〉のソロダンスが非常に美しくて、息をのむってこういう事かと実感しました。
東京公演の休演日明けには〈一騎打ち〉の歌い方も変わっていて、東京凱旋公演では曲中の「王者氷帝」で首を小さくかしげてハッて笑っていたりと表情が全然違っていました。S1中の喜多の台詞の「ナルシーなとこも」で跡部がクルクルッと回るのが、三浦くんの跡部っぽくて好きでした。
まだじんわり寂しさが押し寄せますが、今までになく綺麗にスッキリとお別れを告げさせてくれたように感じました。
新青学のお披露目も拝見して、まだまだどのように変化していくのか分かりませんが、12月からの六角公演もとても楽しみです!