『舞台 東京喰種』感想

舞台「東京喰種」を観てきました。


初日と東京千秋楽とシアター。

ネタバレしてます。

 

お話としてはアニメ寄りな印象を受けました。
金木VS西尾までのストーリーとなっていて、まだまだ金木の覚醒は程遠く、「序章」という感じがしました。とりあえず金木が自分の現状を受け入れるまでで、まだ行動には至りません。

喫茶店「あんていく」で世間話をする中で、ヒデが「さては金木、お前喰種だな!?」と冗談を言い、金木が「僕が喰種だったら、ヒデはとっくに死んじゃってるよ!」と冗談で返します。この時点では冗談でしかなかったこの言葉ですが、金木は後々「ヒデを食べたくない」という理性が「人間を食べたい」という食欲によって押しつぶされそうになります。

金木の苦悩という悲劇が主体なのだとしたら、もっと金木とヒデの絆を見たかったです。今回のこの2時間30分だけではまだまだ終わらない感がありありと出ていて、色んな伏線(梟とかヤモリとかヒナミちゃんのこととか)を残しまくりで分散していた気がしたので、不要なところはがっつりカットして欲しかったなと感じました。

 

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今回、演出としてプロジェクションマッピングが多用されていました。
喰種化の象徴である目の変調が大きく映し出されていて分りやすかったのと、アニメ1期のオープニング映像が完全再現(※今回登場しないキャラクター(月山や什造等)は出てきません)されてて感動しました。BGMでは至る所でもアニメの曲が利用されていました。



プロジェクションマッピングは、少しチグハグさを感じてしまいました。喰種の赫子はほぼプロジェクションマッピングで表現され、人間の持つクインケはリアルな武器として存在してました。そして傷つくとリアルに血は噴出し、首や腕はもがれる。この境目は綺麗だな、と感じました。

個人的に月山編のトーカの赫子はとても綺麗なので、月山編が観たいなぁと思いました。

 

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初日はお話を追うのにいっぱいいっぱいでしたが、2回目でようやく役者さんのお芝居に集中して観ることができました。


金木役の小越さんの熱量はすごくて、金木は中盤で人間の食べ物が受け付けられなくなり、嗚咽を漏らしながら食べては吐き、食べては吐きを繰り返すのですが、見ていて苦しいほどでした。また、体内の利世に精神を脅かされて狂っていき、繁華街で空腹に耐えかね、客席を「人…男…女…」と呟きながら彷徨い歩きますが、その表情にドキッとしました。小越さんのお芝居がやっぱり好きだな、と再確認しました。

金木として精神的にも肉体的にも翻弄され疲弊するお芝居でしたが、公演後の楽屋裏でのお写真を見ると、役が抜けてぽやっとした柔らかい表情をされているのが多くてなんだかちょっとホッとしました。

笑いはほぼない舞台でしたが、そこにふっとヒデが登場すると空気が和らぐようでした。ヒデ役の宮﨑くんの空気づくりがとても上手で、金木にとっての癒しであるのと同様に、この舞台の癒しでもありました。

鈴木さんの西尾はとても西尾でした。台詞のしゃべり方も声質も動きも。1幕には全く出ず2幕だけの登場でしたが、インパクトは一番でした。

ウタも四方さんもトーカもそして亜門も、序章ともいえる今回の舞台では出番が少ない為バックグラウンドを感じることできませんでしたが、村田さんのウタは、出てきた瞬間に「あっウタだ」と認識するようなビジュアルの強さがありました。クリアポスターがほぼ毎回売り切れるのも頷けます。

この時点の亜門もまだ心理は見えませんが、得物も相まって殺陣がとても美しかったです。

利世ちゃんの翻弄するような狂った中の妖艶さがとても良かったです。スタイル抜群!でした。